食べ物や日用品も…。化学的ストレスを抑える8のTIPS
ソース: Tarzan/ 画像: mrsn / 著者: 井上健二
炎症を起こし、ホルモン環境を乱すストレスは、日々のちょっとした心掛けで減らすことができる。なかでも多いのは、食べ物に由来する化学的ストレス。ここでは、すぐに実行しやすい8つのティップスを紹介。習慣を一度にガラリと変えるのはストレスになるので、できそうなものを選び、少しずつ生活に取り入れてみよう。
① 1週間、朝食を和食に切り替える
体質に合わないものを食べると、ストレスも炎症も起こりやすい。日本人なら極力和食を選んだ方が炎症を抑えられる確率が高い。食事を見直すなら、朝食から。
朝食はだいたいルーティン化し、同じものを食べ続ける。ゆえに影響は大きいハズ。パン党は、試しに和食に替えてみよう。1週間トライして体調が良くなるようなら、小麦が体質に合っていないのかも。
「パンの原料となる小麦のグルテンにアレルギーを持つ日本人は少なくありません。グルテンは腸などで炎症を起こしやすいのです」(スクエアクリニック副院長・本間龍介先生)
仮に朝食を和食化して快調になったら、小麦を使ううどんやそばなどの麺類、ピザ、ケーキなどのお菓子も控えて、グルテンフリーな食生活に徐々に近づけてみよう。
② 牛乳よりも豆乳を選ぶ
小麦以外にも、身近なのに日本人の体質に合わないため、化学的ストレスになりやすい成分を含むものがある。牛乳・乳製品だ。牛乳の乳糖がうまく消化できない乳糖不耐症の人は多い。下痢などの典型的な症状が乏しく、無症状の隠れ乳糖不耐症も少なくない。
「さらに牛乳・乳製品のカゼインにより、アレルギーや炎症を起こすことがよくあります」
牛乳・乳製品をしばらく断ち、調子が良くなる実感があるなら、乳糖かカゼインが合っていないのかも。牛乳は豆乳、ヨーグルトも豆乳ヨーグルトに替えてみよう。プロテインはカゼインを含まないタイプに。高価だが、牧草牛から作ったWPI(ホエイプロテインアイソレート)タイプが理想だ。
③ 気分転換はコーヒーよりミネラルウォーター
気分転換の定番といえば、コーヒー。コーヒーのカフェインは覚醒レベルを高め、集中力を上げる。覚醒レベルが上がるのは、脳内でアドレナリンが長く効きすぎるから。
アドレナリンは緊張や興奮を高めるホルモンなので、カフェインを摂りすぎるとストレスに。カフェインにはコルチゾール分泌を促す働きもあり、ストレスで弱った副腎には泣きっ面にハチだ。
カフェインの耐性には個人差が大きいが、好きな人でも1日1〜2杯に留めておくと安心。カフェインは緑茶、紅茶、清涼飲料水、エナジードリンクにも入っている。
気分転換は、ミネラルウォーターでOK。胃腸に何か入るだけで、休息モードへ誘う副交感神経が優位になり、リラックスできる。
④ 朝はスマホの目覚ましで起きない
仕事もプライベートも、スマホなしに回らなくなった。でも、常にチェック&操作をしていれば疲労は溜まるし、ストレスにもなる。せめて自宅に戻り、眠るまでの貴重なリラックスタイムくらいは、スマホを触らないデジタルデトックスを。
眠る寸前までスマホで動画を観たりしていれば、必然的に眠りは浅くなるもの。スマホを目覚まし代わりに寝室に持ち込むと、ついついスマホを触りたくなる。目覚まし時計を使い、スマホはリビングに置く習慣をつけよう。
週末は、長めのデジタルデトックスにトライ。日曜午前中などと時間帯を設定し、スマホだけではなく、パソコンやタブレットをオフにしよう。リフレッシュして週明けが迎えられるに違いない。
⑤ スーパーフードよりも伝統野菜を選ぶ
ブロッコリースプラウト、アサイー、チアシード…。毎年のようにスーパーフードと呼ばれる新顔の野菜や果物が登場する。スーパーフードは栄養価が高いといわれるが、基本的にすべて外来種。
「生物の外来種には敏感なのに、食べ物の外来種に無頓着すぎ。日本人に食歴ゼロの外来種が、体質に合うかどうかは、完全な未知数。スーパーフードが、化学的ストレスにならないとは言い切れない」
野菜や果物の大半も元を辿ると外来種なので、日本各地で古くから栽培されてきた伝統野菜にも目を向けたい。日本原産の野菜や果物はウド、フキ、セリ、ミツバ、ミョウガ、カキなど。どれも地味だが、スーパーで見かけたら手にして、たまには味わってみたい。
⑥ 魚はマグロよりアジにする
ヘビーメタルといっても、メタリカの話ではない。ヘビーメタル=重金属は、鉄より比重が重たい金属の総称。このうち、鉄、亜鉛などはカラダに不可欠な栄養素だ。
一方、重金属には炎症やより重大な健康被害をもたらす鉛、水銀、ヒ素などがあり、国内外で公害を引き起こした。だが、それは過去の話ではない。今でも私たちは知らない間に重金属を摂っている。
その供給源が、魚類。なかでも、魚を食べる捕食魚は生物濃縮で、海中の重金属を溜め込む。ことにマグロなどの大型魚、金目鯛などの深海魚は重金属が蓄積しやすい。食べるなら週1〜2回に留めよう。
「まな板より大きなサイズの魚は要注意。青魚を食べるなら、サバよりもアジの方が安心です」
⑦ 柔軟剤、消臭剤を使いすぎない。天然由来の石鹸を
化学物質は、口から入ってくるものばかりではない。香りや肌に触れたりするものから、アレルギーや炎症が起こることもある。
香り付きの洗濯洗剤や柔軟剤が人気だが、そこに含まれる香料がアレルギー、頭痛や痒みなどの化学物質過敏症につながるケースも。逆に、臭いを消すために用いる消臭剤にも、炎症を招く化学物質が含まれる。使いすぎは控えよう。
コロナ禍以降、消毒剤や除菌剤の使用がすっかりニューノーマルになったが、これらの使用で化学物質過敏症が起こることもある。
この他、普段何気なく使っている歯磨き粉やボディソープ、コスメ、シャンプーなどにも、防腐剤などの化学物質は多い。できるだけナチュラルなものを選ぼう。
⑧ 週末くらいはノンアル・ナチュラルフードで過ごす
コロナ禍のストレスで飲酒量が増えた人も少なくないのでは? アルコールは一時的にストレスを忘れさせるが、酔いが醒めたらストレスは逆に増える。アルコールは炎症を進めるし、炎症を起こす有害物質を解毒する肝臓にダメージを与えるからだ。節酒を心掛け、休肝日を作る努力もお忘れなく。
加工食品は便利で忙しいときは大助かりだが、炎症の元となる食品添加物などの化学物質が含まれる。とくに、加工度が高いファストフード、菓子パン、カップ麺などの“超”加工食品は、炎症を起こしやすいと覚悟した方がいい。
時間に余裕がある週末くらいは、ナチュラルで新鮮な食材を買い、自炊をしてストレスフリー、炎症フリーな食事にトライしよう。
取材・文/井上健二 イラストレーション/mrsn 取材協力/本間龍介(スクエアクリニック副院長)
初出『Tarzan』No.836・2022年6月23日発売