CBD入りの食品は、心身の健康に効果的?

ソース: Women's health / 画像: Getty Images/PIXTA / 著者: Women's health

はやりに乗ってCBDグミを買ってみる? 科学者たちがその効果について教えてくれた

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私たちはCBD(カンナビジオール)ブームの真っただ中にいる。その証拠にCBD入りのビーフジャーキーまで登場した。ワークアウトで疲弊した筋肉を癒やしたり、睡眠の質を高めたり、不安を減らしたり、CBDのメリットは日を追うごとに増えている。米国では連邦法や州法による規制が弱まり、競争力を求めるアスリートの数も多いことから、CBD入りの食品の市場が爆発的に拡大。朝食のトーストにCBD入りのハチミツを塗ることも、ランニング後にCBDプロテインパウダー入りのスムージーを飲むことも可能になった。こういった商品なら、大麻(マリファナ)に含まれる成分とはいえ、カンナビジオールの短所や乱用の危険性を心配する必要もない。このはやりに乗って、CBD入りの食品でキッチンを埋めるべきなの?

CBDとは?

通説によると、カンナビジオールの略であるCBDは、エンドカンナビノイド・システム(ECS)の受容体を結合することで体に大きなパワーをくれる。ECSは体のどの組織にもあるシステムで、理論上、多数の生理的プロセスに作用する。しかも、マリファナの成分として最も有名なテトラヒドロカンナビノール(THC)にありがちな精神活性(“ハイ”な状態)と食欲増進を誘発しない。
マリファナもヘンプも大麻草で、どちらにもCBDとTHCが含まれているけれど、ヘンプのTHC濃度は非常に低い(大麻より最低でも0.3%低い)ので、利用者がハイになる可能性も低い。市販の食品や飲料に含まれるCBDのほとんどは、アメリカで合法的に栽培された産業用のヘンプを使用している(2018年の農業法案により、ヘンプは規制薬物のリストから排除された)。ヘンプシードやヘンププロテインパウダーなどの商品に使われるのも、この植物だという。

C BDの使い方

これにはいろいろあるけれど、最も一般的なのはチンキ剤(液状の製剤)、局所用溶液、食品としての使用。チンキ剤と食品は口から、局所用溶液は皮膚からCBDを取り込むもの。食品と聞くと、マリファナ入りのブラウニーやスペースケーキを想像しがち。でも、CBD入りの食品はグミからプロテインパウダーまで多岐にわたる。

CBD入りの食品の効果

CBDグミを食べれば、本当に寝つきが良くなるの? CBDミントで本当にヒザの痛みが緩和され、リカバリーが促進されるの? どれもSNS上の評判だけでは信用できない。
世間では大々的に宣伝されているけれど、CBDに関する研究は非常に少なく、科学的な証拠よりも怪しげな事例証拠のほうが優勢。
運動パフォーマンスや健康関管理にCBDが有用であることを査読によって証明する対ヒトの臨床研究は、今日に至るまで不足している。これは連邦法により、ヘンプがごく最近までスケジュールIの薬物(生産と流通が禁止される薬物)に分類されていたから。よって、CBD入りの食品が体に与える長期的な影響はいまだ解明されていない。

米国のある調査によると、21歳以上の消費者の40%はCBDを使ってみたいと思っているそう。そして、トライアスロン選手のアンドリュー・タランスキーを始めとするプロアスリートや、週末専門のアマチュアアスリートは、すでにCBDを愛用している。CBDには小さな奇跡を起こす力があると信じている彼らにとっては、科学的なエビデンスがあるかないかは関係ない。だから、CBD入りのチューインガムやカフェラテを喜んで飲んでいる。
でも、CBDを愛用するランナーの影には、CBDから何の効果も得られなかったランナーがいる。万能薬と言われるアイテムが実は単なる誇大広告だったというのは、よくある話。
CBDには、実際の効果に加えて容量の問題もある。効果を得るために必要な摂取量はハッキリと分かっていないし、その量は人や症状によって変わる可能性が高い。また、遺伝子と同様、CBDが結合する脳内の受容体も人それぞれだとすれば、効果も当然人それぞれ。

だから、まずは少しだけ(1日25mg未満)試してみて、体が耐えられるようなら量を増やしていけばいい。市販のCBD入り飲食料品には、大抵5~25mgのCBDが含まれている。トレーニング強化期間中のアスリートの多くは、持久力と回復力を高めるためにCBDの摂取量を増やす(大量のCBDを摂取することによる有害な副作用はいまのところ報告されていないけれど、だからといって、ランニング後にCBD入りキャンディをパクパク食べてもいいわけじゃない)。また、CBDには恐らく即効性がない。よって、辛抱強く継続的に摂取しないと、顕著な変化は見られないかもしれない。

とある小規模の研究により、CBDは脂質と一緒に摂取すると体に吸収されやすくなることが分かった。使おうとしているCBD入りの食品に脂質が含まれていないなら、良質な脂質(アボカドやオリーブオイル)を含む食事と一緒に摂取するのがポイント。
愛用者の中には、“フル・スペクトラム”のCBD商品を狙えと言う人もいる。なぜ?

フル・スペクトラムのCBD商品には、CBDだけでなく多種多様なヘンプの成分(微量のTHC)も含まれているため、相乗的な健康効果が期待できるという(これに関しても科学的なエビデンスはないけれど)。一方、CBD“アイソレート”には、製造過程で除去されるヘンプの成分が全て含まれているので、CBDほぼ100%で、THCは含まれない。ドーピング検査が必要なアスリートや、職場で薬物検査を求められる人にとっては安心なオプション。そして、“ブロード・スペクトラム”のCBDは、THCを含まないフル・スペクトラムのCBD。

CBDの製造、成分表示、流通に関する連邦規制がない中で、本当に買う価値のある商品を見つけるのは難しい。医学会誌『The Journal of the American Medical Association』掲載の論文によると、ネット上で販売されているCBD商品のほとんどは、成分表に書かれているだけのCBDを含んでおらず、中には内緒でTHCを混ぜているものもある。CBDは米国食品医薬品局の監視を受けていないので、試したいなら、カンナビノイドの濃度や汚染物質(THCなど)の有無に対する第三者機関の検証を受けたメーカーの商品を探すこと。
CBD入りの食品や飲料が、そもそも体に良いのかという問題もある。砂糖たっぷりのCBD飲料をガブ飲みするのは、どう考えても体に悪い。CBD入りの飲食料品は、原材料をしっかりチェックした上で購入しよう。

2018年、世界アンチドーピング機関がヘンプ由来のCBDを禁止物質リストから排除してからというもの、アスリート向けのCBD入り商品の需要は急速に高まっている。2017年、米国のヘンプ由来のCBD飲食料品は190億ドル(2兆950億円強)の売り上げを記録し、いまもなお伸び続けている。
天然成分であるCBDを使えば、薬に頼ることなく関節痛や睡眠パターンを改善できるかもしれない。また、ヘンプの栽培量が増え、大企業を含むメーカー同士の競争が激しくなれば、この先の数年でCBD商品の小売価格は下がるはず。

結論

CBD入りの食品が心身の健康に役立つことはそのうち証明される。でも、流行中の食品は、それが何であれ過大評価に注意すること。結局のところ、あなたを早くゴールに近づけるのは、CBDグミよりも、賢いトレーニング戦略+バランスの良い食生活+十分な睡眠の3拍子。でも、あなたに合ったCBD入り商品が見つかったなら、それを使い続ければいい。