人工甘味料は肝臓によくない? 新たな研究でわかったこととは

ソース: Womens Health / 画像: Getty Images / 著者: KORIN MILLER

低カロリーで甘みの強い人工甘味料だけど、その種類と量には注意が必要のよう

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ここ数年、人工甘味料は多くの健康被害との関連性が指摘されている。さらに、ここにきて肝臓の解毒作用を妨げる可能性も浮上してきた。

この事実は、米国生化学・分子生物学会の年次総会で発表された新たな研究結果により判明したという。研究では、特に2種類の人工甘味料(アセスルファムカリウムとスクラロース)が肝細胞に与える影響について注目された。

研究者たちは、甘味料が毒素、薬物、薬物代謝産物(体内で薬物が分解される際にできる副産物)を体外に排出するP糖タンパク質(PGP)と呼ばれるタンパク質の働きを阻害することを発見した。

「私たちは、それが薬物療法や化学療法の能率を下げ、毒性を増加させるのではないかと考えています」と、この研究主任でウィスコンシン医科大学の生物化学助教授であるステファニー・オリヴィエ=ヴァンスティシェレン医学博士は話す。「今、私たちはこのことに研究の重点を置いています」

オリヴィエ=ヴァンスティシェレン博士は、人工甘味料は食品の栄養ラベルに表記されているものの、実際の含有量は記載されていないと指摘。「私たちは自分が甘味料をどれくらい摂取しているのか把握していません」と彼女は述べる。「ヨーグルトやダイエットソーダのラベルには(人工甘味料の量は)記載されておらず、自分がどれほどの量を摂取しているのか知ることは難しいです」

では、人工甘味料に対して私たちはどの程度意識するべきなのか? 専門家が解説する。

人工甘味料ってなに?

食品医薬品局(FDA)によると、砂糖代替品、別名:非栄養性甘味料(もしくは人工甘味料)は、ほとんど、あるいは全くカロリーがない甘味の物質。

FDAは、スクラロースとアセスルファムカリウムの両方を食品添加物として使用することを認可している。

肝臓による解毒作用の仕組み

肝臓は、血液中のほとんどの化学物質の濃度を調整し、肝臓から老廃物を取り除く働きのある胆汁という物質を分泌する臓器だと米メリーランド州ボルチモアの医療機関「ジョンズ・ホプキンス・メディスン」は述べている。

ホプキンス・メディスンによれば、胃と腸から出た血液はすべて肝臓を通過し、血液を処理してバランスを整え、また、肝臓は薬物を代謝して体内で利用しやすい形に、あるいは無毒な形に変える、とのことだ。

「肝臓は体の中で解毒を行う主要な器官ですが、それだけではありません」と、ミシガン州立大学で薬理学・毒物学准教授を務めるジェイミー・アラン医学博士・薬学博士。(腎臓、肺、リンパ系も他の臓器とともに解毒の役割を担っている)

肝臓の機能が何らかの理由によって妨げられると、「(有害な物質を代謝する代わりに)無害な物質を代謝していても気づかない可能性があります」とアラン博士は述べている。さらに、「活性化合物や毒性代謝物が蓄積されると、重大な副作用が生じる可能性があります」と彼女は続ける。

繰り返しになるが、解毒のプロセスにおいて、肝臓は重要な役割を果たす。「肝臓は、通常の代謝で生じる老廃物や、化学物質、毒素、薬物を分解して体外に排出するために不可欠です」と、米ミシガン州に拠点を置く総合医療システム「スペクトラム・ヘルス」の臨床栄養部長を務める登録栄養士のレベッカ・メイソンさんも述べている。「肝臓の働きが制限されると、体内に残る毒素の量が増えたり、代謝が損なわれたりする可能性があります」

オリヴィエ=ヴァンスティシェレン博士は、人工甘味料が肝臓の機能にどれほど影響を与えるかについてはさらなる研究が必要だと述べている。

人工甘味料は摂ってもいいの?

最新の研究結果に加えて、動物実験では人工甘味料による体重増加、膀胱がん、腫瘍など様々な健康問題につながる可能性が指摘された。しかし、これはあくまで動物実験の結果であり、米国立がん研究所(NCI)は、FDAが認可した人工甘味料に関する研究では「ヒトにおけるガンとの関連性を示す明確な証拠は示されていない」としている。

『The Little Book of Game-Changers(原題)』の著者で登録栄養士のジェシカ・コーディングさんは、非栄養性甘味料の使用は最小限に留めるよう患者に伝えているという。「砂糖と同じ土俵で見なければなりません」とコーディングさん。「少なければ少ないほどいいでしょう。どうか使用するときは控えめにしてください」

例えば、時々ダイエットソーダを飲む程度であれば、「心配する必要はありません」とコーディングさんは説明しているが、非栄養性甘味料を定期的に摂取している場合は、その甘味料が含まれていないものを探すことがベストのようだ。

人工甘味料はしっかりと甘さを感じることができるため、「糖分への欲求を駆り立てることがあるのです」とコーディングさん続ける。「それが、人工甘味料の使用を控えるべき、最大の理由です」

しかし、オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカル・センターの登録栄養士であるリズ・ウェイナンディーさんは、この研究をあまり信用しないようにと警告。「これらの研究結果は興味深いものですが、人工甘味料や砂糖の代替品が肝臓の解毒能力を妨げるかどうかについては、より多くの研究が必要であることを心に留めておきましょう」と彼女は述べている。

一方で、メイソンさんは人工甘味料の使用制限に同意。「人工甘味料を含む加工食品の摂取は、控えめであることが大切です」と彼女は述べている。「砂糖のカロリーを減らすために代替品を使うことは悪くありませんが、多くの人は、大好きな(砂糖を使った)甘いお菓子を少しずつ食べることの方が、楽しみながら食べることができるため、より満腹感・満足感を得ることができるのです」

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Photos: Getty Images Translation: Ai Ono

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