平気で夏に「缶コーヒー」「スポドリ」飲む危うさ
蒸し暑い梅雨が明けると、夏本番! 仕事の合間や休憩に、冷たい飲みものを欲することも増えるでしょう。本稿では、『新版「食べてはいけない」「食べてもいい」添加物』の著者で、科学ジャーナリストの渡辺雄二氏が、安心して「飲んでもいい」飲みものを選ぶ方法をお伝えします。
その飲み物「合成甘味料」が使われていませんか
前回、「糖質ゼロ」「ダイエット」とうたった健康飲料やノンアルコールビールに、注意が必要だと書きました。実は、健康飲料やノンアルコールビールのほかにも、合成甘味料が添加されている飲料はたくさんあります。
たとえば、「缶コーヒー」。缶コーヒーは各社からさまざまな製品が売り出されていますが、その主流は「微糖タイプ」です。それらには、砂糖の代わりに合成甘味料のアセスルファムKやスクラロースが添加されているのです。
アセスルファムKはイヌを使った実験で、肝臓にダメージを与えたり、免疫細胞の1種のリンパ球を減らすことがわかっています。スクラロースは、ネズミを使った実験で、リンパ球を減らすことが示唆されています。缶コーヒーを飲むなら、無糖・ブラックがいいでしょう。
また、「風呂上がりに飲むとおいしい」とスポーツドリンクをガブガブ飲んでいる人もいるでしょう。ナトリウム、カリウムなどのミネラルをふくんでいます。
汗をかくと、一緒にナトリウムが排泄されるので、それらを補うスポーツドリンクを「おいしい」と感じるのでしょう。このスポーツドリンクのなかには、合成甘味料のスクラロースがふくまれている製品があります。スクラロース入りは、避けてください。
合成甘味料については、ボストン大学の研究グループが、「合成甘味料入りのダイエット飲料を1日1回以上飲んでいた人は、まったく飲まない人よりも虚血性の脳卒中やアルツハイマー病(認知症の一種)になる確率が約3倍も高い」という調査結果を発表しています。さまざまな食品にたくさん添加されている合成甘味料に、注意が必要です。
暑い季節に人気なのが、スカッとした飲み心地の炭酸飲料です。通常、炭酸飲料には、保存料は使われていません。炭酸に殺菌作用があるため、使う必要がないのです。
しかしなぜか、一部の炭酸飲料には、合成保存料の安息香酸Naが添加されています。加熱殺菌をしていないので、腐敗を防ぐために使っているようです。
安息香酸Naは、ラットに一定量を与えると、痙攣や尿失禁などをおこして死んでしまうという物質です。飲料に添加される安息香酸Naは微量ですが、炭酸飲料は子どもがよく飲むものなので、その影響が気になるところです。表示を確かめ、安息香酸Naが入っているものは選ばないようにしてください。サイダーには、安息香酸Naは使われていません。
100%果汁ジュースは安全か
スーパーなどで売られている100%果汁ジュースを見て、「本当に果汁100%なの?」と疑問を感じている人も多いと思います。実際にはほとんどの製品は100%ではありません。なぜなら香料が添加されているからです。
100%果汁ジュースの果汁はほとんどが、濃縮還元されたものです。つまり、搾った果汁の水分を一度蒸発させて濃縮し、それに再び水を加えて薄め、元のような状態にしているのです。
こうすると体積が減って保管や輸送が簡単になり、コストを低く抑えることができます。しかし肝心な果物の香りが失われてしまいます。そこで香料を添加するのです。
香料は、合成が約160品目、天然が約600品目あり、合成香料の中には毒性の強い危険なものがありますが、「香料」としか表示されないので、何が使われているか不明です。
100%果汁ジュースの中にも、少ないながら、香料を使っていない製品も売られているので、原材料名をよく見て、「香料」という文字のない製品を選ぶようにしてください。
また、刺激的なにおいを発するものを避け、できるだけおだやかな香りのものを選ぶようにするといいでしょう。100%果汁ジュースのほかに、無果汁の製品や、果汁入りのジュース類もあります。どちらにも、酸味料、香料、ビタミンCなどが添加されています。
酸味料は酸味を出すためのもので、クエン酸など20品目以上ある中から数品目がピックアップされて使われています。それほど毒性の強いものはありませんが、「酸味料」と一括名表示になっていると、何が使われているのか不明です。一般には、乳酸やクエン酸がよく使われています。酸味料をとると、人によっては口や胃に刺激を感じることがありますので、注意が必要です。
「飲んでもいい」添加物、無添加の飲みもの
「水代わりに、お茶飲料を飲んでいる」という人も多いでしょう。街中の自動販売機には、ペットボトル入りのお茶飲料がズラッと並んでいます。これらの原料は緑茶やウーロン茶ですが、ビタミンCという表示があるのをご存知ですか?
「ビタミンCを強化しているんだ」と思う人もいるでしょう。しかし、本当はそうではないのです。お茶飲料は時間とともに色が変わっていきます。色素に酸素が結びついて(これを酸化といいます)、変色するからです。また、味や風味も酸化によって落ちてしまいます。ビタミンCには酸化を防ぐ働きがあります。
そこでこれを添加して色や風味が変わるのを防いでいるのです。ビタミンCはもともとレモンやいちごなどにふくまれる成分なので、安全性に問題はありません。
また、牛乳には添加物が使われていません。なぜなら乳等省令によって、牛乳とは生乳だけを原料に使い、無脂肪固形分8.0%以上および乳脂肪分3.0%以上ふくむものと決められているからです。つまり、水やそのほかの原料、添加物を加えてはいけないのです。
ちなみに、牛乳のほかに、加工乳や乳飲料があります。加工乳は、牛乳に脱脂粉乳やクリームなどの乳製品を加えたもので、脂肪分を調整しています。乳飲料は牛乳と乳製品を主原料として、コーヒーや果汁、糖類などの乳以外の成分を混ぜたもので、さらに炭酸CaやビタミンDなどの栄養強化剤、乳化剤などが添加されることがあります。
安全な「豆乳」を選ぶポイント
豆乳には、無添加と、そうでないものがあります。「調整豆乳」には、乳化剤や香料、糊料のカラギナン(カラギーナン)、乳酸カルシウムなどが添加されています。
糊料は、トロミや粘りをつけるものです。カラギナンは、海藻の一種から抽出されたものですが、動物に大量にあたえた実験では、がんを促進させることがわかっています。
豆乳を飲むなら、「無添加」のものを選ぶようにしましょう。
そのほか、フリーズドライ製法で作られているインスタントコーヒーも無添加です。丁寧にドリップしたコーヒーに比べると風味や味は劣りますが、手軽で便利です。同じように、粉末状のココアパウダーにも、添加物は使われていません。ココアにはリグニンという食物繊維が多くふくまれていて、便通を改善するというデータがあります。