「ディオール」が持続可能な事業活動のための指針を発表 二酸化炭素排出削減やトレーサビリティの確保など
ソース: Fashion Snap / 画像: パルファン・クリスチャン・ディオール / 著者: Fashion Snap
「ディオール(DIOR)」が、今後10年間の地球規模の環境問題に対処し、透明性を向上させ説明責任を果たす取り組みとして「BEAUTY AS A LEGACY 2030」計画を発表した。花々の生態系を守るための再生型花栽培の推進や、バリューチェーン全体の二酸化炭素排出量の削減、パッケージ等のエコデザインへの移行、トレーサビリティの確保、ダイバーシティやサヴォアフェール(長く続く匠の技)の保護と発展といった5つの柱を掲げる。
LVMHグループは昨年、サステナビリティのための行動基盤「LIFE 360プログラム」を設定。傘下のディオールはこれを受けて、今後10年間の地球規模の環境問題に対処し、透明性を向上させるとともに説明責任を果たす取り組みとして「BEAUTY AS A LEGACY」を率先していく。パルファン・クリスチャン・ディオールのローラン・クレットマン社長兼最高経営責任者は、「今、私たちは重大な転換期にいる。世界で生まれる経済価値の半分以上が自然や生態系に頼って創出されているのだから、自然保護や再生可能な未来を構築するために行動を起こさなければならない。長年に渡り、パルファン・クリスチャン・ディオールは、生態系の保全における花々の重要な役割が見過ごされていると考えてきた。自然界の植物の90%以上が花を咲かせる植物で構成されているのにも関わらず、花々は昆虫や鳥類、そして哺乳類よりもはるかに早く絶滅に直面すると報告されている。だからこそ、花をサステナビリティ戦略の先頭に据え、その遺産を守り、生態系の中で花々の存在を発展させていくことを目指す。私たちは『美しさのみを次世代へ継承する』というヴィジョンを実現するために大きな一歩を踏み出す」と声明を発表した。
活動の中心となる花々の再生へ向けたイノベーションでは、15年以上継続している南仏グラースの農園での経験を基に構築。地域フットプリント評価を実施し、生物多様性の再生と経済的発展を同時に実現するための主要な手段を特定し、グラースをモデルに他の地域にも応用する。パリ郊外にある再生農業に特化した世界最大の農業キャンパス「HECTAR」とは新たにパートナーシップを締結し、2023年までに再生型花栽培に焦点を当てた教育プログラムを開始。生態系における花農業の影響に関する調査や生態系からの恩恵を将来につなぐため他の農業との相乗効果を研究する。
二酸化炭素排出量の削減においては、2030年までにスコープ14、25、36に対して2019年比で46%削減を目指す。現在フランスの全拠点では100%再生可能な電力が使用されているが、2023年までにバイオガスを含む再生可能エネルギー使用率100%の達成を掲げる。
パッケージ等のエコデザインでは、顧客に対して新しい価値観を提示することにも注力。すでにブランドを象徴するフレグランス「ソヴァージュ(SAUVAGE)」やリップスティック「ルージュ ディオール」、スキンケアのプレステージアイテムは詰め替え可能なパッケージを採用している。2028年までに、化石原料由来のプラスチックの使用を停止するため製品の仕様変更に取り組むと同時に、リピートされやすい製品すべてのパッケージのリフィル化、あるいはリサイクル可能な形態への移行を目指す。
原料調達に際しては、「ディオールのサステナブル活動と安心への取り組み」に即し、透明性を高める。Dior.comでは、成分や配合目的に関して透明性のある情報を積極的に掲載し、購入時の参考として発信するだけではなく、ユーザーの啓蒙にも取り組む。
このほか、ディオールが持つサヴォアフェールや専門技術の継承や組織政策の強化を推進。すでに女性管理職比率は50%を超えているが、男女間の賃金格差の解消や育児休暇取得など多様性に基づき活躍しやすい環境を整備する。また、次世代に継承するべきメゾンの遺産や生産者の高度な技術の広い認知と評価向上にも注力する。