若い大腸がん患者の世界的増加は「ジャンクフード」と関連
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がんの発症リスクは低いとされてきた若年成人の間で、発見までに長い期間がかかる大腸がん(結腸、または直腸がん)になる人が急激に増加している。
治療が困難なこのがんについては、これまでの研究から「ジャンクフード」や加工食品、つまりハンバーガーやフライドポテト、一部のスナック菓子やシリアル、デザート類、砂糖入りの飲料などとの関連性が明らかになってきている。
直腸・結腸がんの検査キットを開発した独マインツ・バイオメッドのギド・バチェラーCEOは「社会は添加物や保存料を多量に使用した食品を摂取する食習慣に移行してきました。それが、発症する人の急増につながっているのでしょう」と述べている。
米カリフォルニア州にあるソーク研究所とカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者からなるチームは2023年8月、マウスを使用した実験の結果、高脂肪の食事が腸内細菌の組成を変化させ、胆汁酸(消化に重要な分子)の産生を促す細菌の増殖につながっていることを確認したとする研究結果を発表した。この細菌の増殖が腸内の炎症を引き起こし、がん発症のリスクを高めていると考えられるという。
2022年8月には、米国で行われた3件の大規模コホート研究の結果を解析した結果が、英医学誌The BMJに発表された。米国とブラジルなどの研究者らが行ったこの調査によると、超加工食品の摂取量が多い男性は、その摂取量が最も少ない男性のグループと比べ、直腸がんになる可能性が29%高くなっていた。
そのほか2015年には、世界保健機関(WHO)の付属機関である国際がん研究機関(IARC)が、加工肉はヒトの直腸がん発生の要因になり得ると発表している。
■予防できるがんの1つ
医学誌JAMA外科学(JAMA Surgery)のデータによると、20~34歳の大腸がん患者は、2030年までに90%増加すると予想される。だが、大腸がんは最も予防できる可能性が高いがんの1つだ。
大腸がんは、早期に発見された場合の生存率は90%を超える。一方、発見の時点でステージ3だった場合には、5年生存率は71%。ステージ5であれば、その確率はわずか14%となる。
発症リスクには多くの要因が影響
研究結果によれば、大腸がんの発症リスクは、遺伝や環境影響、ライフスタイルに関する選択など、さまざまな要因に影響を受ける。米クリーブランド・クリニックの管理栄養士アマンダ・ボードは「大腸がんのリスクを軽減するためには、健康的な食事を取ることが重要であることを示す研究結果が増えています。家族歴がある人は、特に食事が重要です」と語る。
■新たな検査方法も必要
若年層に大腸がんの患者が増加していること、検査による早期発見の例が少ないこと(多くの場合、内視鏡検査への恐怖心が原因)が示すのは、より受けやすい検査方法と、公教育の重要性だ。
米国予防医学専門委員会は45歳以上を対象として、内視鏡検査に代わる非侵襲的な検査方法として3年に1度、自宅でできる便DNA検査を行うことを承認している。その検査には、メッセンジャーRNA(mRNA)バイオマーカーを使用しており、特許出願中の「ColoAlert(コロアラート)」などがある。予防と早期発見の重要性を認識し、従業員に健康的な食事や検査の機会を提供する大企業も増えている。
2022年に発表された若年発症大腸がん(EOCRC)に関する系統的レビューの結果でも、揚げ物、加工食品、高脂肪の食品、砂糖入りの飲料、デザート類を日常的に多く取り、葉酸と食物繊維の摂取量が少ない人は、発症のリスクが著しく高くなっていたことが示されている。
前出のバチェラーCEOは「真実は科学にある」として、次のように述べている。
「定期的に検査を受けていれば、診断が遅れることはなくなるでしょう。食習慣は、自分で変えることができる危険因子であり、命を救うことにつながり得るものです」