フライドポテトの摂取、うつと関係する可能性 中国研究

ソース: CNN JP / 画像: Getty Images /著者: CNN

フライドポテトなど揚げ物が不安やうつのリスクに関係する可能性があると研究者が発表/Aleksandr Zubkov/Moment RF/Getty Images

(CNN) 油やでんぷんが多く含まれ、心のなぐさめにしている人も多いフライドポテト。しかしそうした揚げ物は心の健康に悪影響を及ぼす可能性があるという研究結果が、24日の米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された。

中国・浙江大学の研究チームによると、揚げ物、特にフライドポテトを頻繁に食べる人は、揚げ物を食べない人に比べて不安のリスクが12%、うつのリスクは7%、それぞれ上昇することが分かった。この傾向は、若い男性や年少者の方が顕著だった。

揚げ物は肥満や高血圧といった健康問題のリスク要因になることが分かっており、今回の研究では「心の健康のためにも揚げ物の消費を減らすことの重要性」が浮き彫りになったとしている。

ただ、栄養学の専門家はこの研究について、まだ予備的な段階で、揚げ物が心の健康問題を引き起こすのか、それともうつや不安の症状がある人が揚げ物を食べる傾向があるのかどうかが、必ずしもはっきりしないと指摘する。

今回の研究では14万728人を11.3年以上にわたって調査した。最初の2年以内にうつと診断された人を除くと、揚げ物を食べた人は不安の症例8294例、うつの症例1万2735例が発見され、特にフライドポテトを食べた人は、白身肉の揚げ物を食べた人に比べてうつのリスクが2%高くなることが分かった。

1食分以上の揚げ物を定期的に食べているのは若い男性の方が多かった。

今回の研究にかかわっていない専門家のデービッド・カッツ氏は、「この研究はその趣旨の通り、揚げ物の摂取量が増えると不安やうつのリスクが高まることを示しているのかもしれない」とした上で、「不安やうつの症状がある人は、うわべだけの安心感を求めて『コンフォートフード』に頼る頻度が高くなるという、逆の因果関係がある可能性もある」と電子メールで解説した。

不安やうつの症状がある人は、自己治療としてコンフォートフードに頼ることがあるとカッツ氏は言う。

揚げ物の健康への影響は、揚げる食品や使用する油の種類によって大きく異なるという/Fotografía de eLuVe/Moment RF/Getty Images

今回の論文では、不健康な食品や栄養価の低い食品は気分を落ち込ませ、心の健康症状を進行させることがあると指摘した別の論文を引用している。

研究チームは不安やうつのリスクが高まる原因として、揚げ物、特にフライドポテトを調理する過程でできる化学物質のアクリルアミドを挙げている。

研究チームが引用した別の論文によれば、ゼブラフィッシュをアクリルアミドにさらす実験を行った結果、長期間、アクリルアミドにさらされた魚は水槽の暗い区画にすみつくようになった。これは魚の不安感上昇の一般的な兆候とされる。

そうしたゼブラフィッシュは水槽内を探検する能力の低下がみられ、仲間の近くで泳がなくなった。ゼブラフィッシュは群れを作る魚として知られる。

米ハーバード大学公衆衛生校のウォルター・ウィレット教授はこの研究結果について、「特に揚げ物とアクリルアミドとの関連については、非常に予備的なものと考える必要がある」「揚げ物の健康に対する影響は、どんな食品を揚げるか、どんな油を使うかによって大きく異なる」としたうえで、「ジャガイモは血糖値を大きく上昇させ、その上昇にホルモンが反応するため、気分への影響が懸念される。しかしそうした血糖値の上昇は、揚げ物の脂肪分によって部分的に緩和される」と指摘した。

アクリルアミドは「たんぱく質と炭水化物を一緒に加熱することで発生する」ため、揚げ物だけでなく、コーヒーをローストしたり、パンをトーストしたりする過程でも生成されると同氏は解説している。