10年早く、温室効果ガスの排出「実質ゼロ」を目指す国

ソース: Forbes Japan / 画像: - /著者: エシカルな暮らし編集部

オーストラリアの風景

脱炭素先進国として世界から注目されているオーストリア。

積極的にサステナブルな取り組みを進めており、プラスチック製品の使用を禁止したり、2030年までに再生可能エネルギーで電力を100%賄うことを目指したりしている。

多くの先進国の首脳が「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」を掲げる中、オーストリアはより野心的な目標を掲げる。

それは「2040年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」「2030年までに国内で生産される電力をすべて再生可能エネルギーで賄う」という目標だ。

そんな高い目標をどのようにして達成しようとしているのか、詳しく見ていこう。

プラスチック袋の使用禁止

オーストリア政府は、プラスチック製の袋の使用を2020年から禁止している。

禁止前は、捨てられた袋の処理が自治体や農業の課題となっていたほか、ドナウ川に1日100kg以上のプラスチック袋が捨てられていたようだ。

日本では2020年7月からレジ袋が有料化されているが、使用自体は禁止はされていない。

エコカーに約21万円の補助金

世界の全CO2のうち約20%が交通や運輸から排出されている。2018年に交通・運輸業界が排出したCO2は80億トンにものぼり、特に乗用車からの排出が多い。

そこでオーストリアではエコカーへ補助金を出し、国民が環境負荷の低い移動ができるように支援している。

結果として、ガソリン車は前年比で15.1%減り、ハイブリッド車は68.1%、電気自動車は37.5%増加したようだ。

オーストリアの街には多くの充電ステーションが配備されており、電気自動車に優しい国となっている。

高い再エネ比率を実現

オーストリアは発電量の77%が再生可能エネルギーであり、電気自動車をエコな電気で走らせることができる。

オーストリアにはアルプス山脈が広がり、国土の3分の2が山岳地帯である。豊かな河川が多くあるため特に水力発電が発展しており、総発電量の57.9%を占めている。

国内には3000か所を超える水力発電所があり、得られた電力は他国へ輸出もしている。

しかし、水力発電をこれ以上増やすと環境への負荷が大きすぎるため、オーストリアは別の再生可能エネルギーを増やす方向へと舵を切っている。現在は、市民からの投資も奨励する形で、積極的に太陽光発電の建設を行っているようだ。

私たちにできること

日本の発電量に占める再生可能エネルギーの割合は、2022年時点で22.7%となっており、オーストリアと比べるとかなり低いことがわかる。

国の人口や環境が異なるためそのまま真似することは不可能だが、できることを取り入れ、持続可能な社会をつくっていかなければならない。

日本にもエコカーや再生可能エネルギーを推進するさまざまな制度が存在するため、それらを調べて活用し、無理のない範囲でサステナブルな生活に挑戦してみてはいかがだろうか。


【参照】
・国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr10_000012.html
・脱炭素デキルくん
https://datsutanso-dekiru.jp/columns/detail13/
・NHK
https://www.nhk.or.jp/minplus/0019/topic032.html
・環境エネルギー政策研究所
https://www.isep.or.jp/archives/library/14364
・GREENPEACE
https://www.greenpeace.org/japan/campaigns/story/2021/06/04/51703/
・朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/sdgs/article/14937675
・JETRO
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/12/2a1f7a7d7b1ed1ef.html
・MIRAI POST
https://www.mirai-port.com/planet/2543/