「フルーツ、ドレッシング、シリアル」は×、「牛肉、ベーコン、バター、卵」は○…脂肪肝と糖尿病の予防で大事なこと
ソース: President Online / 画像: iStock.com /著者: ジェイソン・ファン
脂肪肝や糖尿病の予防には、どんな食生活を心がけるべきか。カナダ人医学博士のジェイソン・ファン氏は「現代の食事は、あらゆるものに糖分が含まれている。とくに加工食品に含まれる糖分には注意したほうがいい」という――。
※本稿は、ジェイソン・ファン『糖脂肪』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
「味のついた水」にも砂糖がたっぷり
■原則その1――「フルクトース」を摂らない
最も大切な原則は、何と言っても、加糖されたものを食事からいっさい排除することだ。
脂肪肝がグルコースでいっぱいになってしまい、それ以上にグルコースを取りこめなくなるとインスリン抵抗性が発現する。脂肪肝の決定的な要因は炭水化物だけではなく、スクロース(砂糖)に含まれるフルクトースと、果糖ブドウ糖液糖だ。
グルコースは体内のどの細胞でも代謝することができるが、フルクトースを代謝できるのは肝臓だけ。つまり、フルクトースはグルコースよりも何倍も脂肪肝を引き起こしやすいのだ。
スクロース(砂糖)はグルコースとフルクトースが1分子ずつ結合したものなので、脂肪肝を引き起こす主な要因だし、これほど脂肪肝を引き起こしやすいものはない。
フルクトースを単体で摂ることは普通はないが、加工された食べ物には含まれている場合がある。
何といっても避けるべきは、ソーダ、アイスティー、スポーツドリンク、カクテル、ジュース、スムージー、コーヒー飲料、“味のついた”水など、加糖された飲み物だ。こうした飲み物には、砂糖がたっぷり入っている。
クッキー、ケーキ、デザート類、マフィン、カップケーキ、アイスクリームにも多く含まれている。
食材よりもケチャップ、トマトソース、ドレッシングに注意
つまり、ほとんどすべての加工食品には砂糖が含まれている。砂糖を加えることで、コストをかけずに風味や舌触りをよくすることができるからだ。
調理済みの肉料理のラベルを見てみるといい。加工の過程で使われているソースには、たいてい砂糖が含まれている。砂糖は調味料(ケチャップ、ピクルスなど)、スパゲティのトマトソース、フレーバー・ヨーグルト、サラダ用のドレッシング、バーベキューソース、アップルソース、スパイスミックスなどにも隠れている。
シリアルやグラノラ・バーにも、砂糖がたくさん入ったものが多い。
外食も然り。料理をコストをかけずに美味しくするのに好都合なので、砂糖はたいてい含まれている。
果物はどうだろうか。
果物に元来含まれているフルクトースと、砂糖に含まれているフルクトースに、科学的な違いはない。違いがあるとすれば量だ。毒かどうかは量しだい。食べすぎないことが肝心だ。
今日では一年中様々な果物が手に入るうえに、昔よりも甘くなるように育てられている。ドライフルーツにはたいてい砂糖がたくさん使われているので、レーズン、クランベリー、フルーツの皮などは避けたほうがいい。
メタボ気味の人は加工された炭水化物を避ける
人工甘味料はどうだろう。私の患者には、カロリーの有無に関係なく、甘味料はすべて避けるようにアドバイスしている。
論理は簡単だ。カロリーゼロの甘味料を摂っていれば糖尿病や肥満が本当に減るというのなら、今日のように糖尿病や肥満がまん延することはなかったはずだ。
何十年と、様々な食品にこの人工物を加えてきた結果、得られたエビデンスはこうだ。人工甘味料は砂糖と変わらない。どちらも避けるべきだ。
■原則その2――精製された炭水化物を減らし、「天然油脂」を摂る
高インスリン血症と脂肪肝が、肥満をはじめとするメタボリック・シンドロームを引き起こす主因だ。食品群のなかで精製された炭水化物が最もインスリン値を高くするので、精製された炭水化物の摂取量を減らすのは理にかなっている。
たいていの加工食品は、この食品群の小麦、トウモロコシ、ジャガイモなどを使って作られている。
パン、パスタ、マフィン、ドーナツ、ポテチ…
本来、炭水化物自体は体に悪い食べ物でないことを忘れてはならない。
炭水化物を主体にした食生活をしていた社会もかつては多かったが、それで彼らは繁栄してきた。問題は、精製する過程にある。
炭水化物から天然油脂やたんぱく質を取り除いたものは、もはや天然の食べ物とはいえないし、人間の体は炭水化物のみを処理できるように進化してきてはいない。全粒粉や全粒穀物ですら、高度に精製されているものが多い。
問題は、これらの食品に対するインスリン反応だ。そのままの、精製されていない炭水化物は、精製された小麦粉のようなインスリン反応を引き起こすことはない。
牛肉、ベーコン、バター、ココナッツ、卵を食べよう
精製された炭水化物を減らし、その分を脂質が豊富な魚、オリーブ油、アボカド、ナッツ類に置き換えよう。
牛肉、豚肉、ベーコン、バター、クリーム、ココナッツなどに含まれる天然の飽和脂肪酸も、体にいい脂質だ。卵はすばらしい食品だし、ほとんどの海産物も同様だ。
ただし、すべての脂質が体にいいというわけではない。工場で加工され、高度に精製されたオメガ6系の種子油はお勧めできない。炎症反応を引き起こし、健康によくないからだ。ヒマワリ油、コーン油、菜種油(キャノーラ油)、紅花油(サフラワーオイル)、そのほかの植物油などがこれに含まれる。
特に、植物油を高温で使うと、有害な化学物質であるアルデヒドが出るので、高温では使わないほうがいい。
揚げ物は避け、硬化油(トランス脂肪酸)を摂らないようにしよう。
私が勧めるこの食事療法は、「低炭水化物・ヘルシー脂質ダイエット」(LCHF)と呼ばれている。これは血糖値を下げ、インスリン値を下げ、体脂肪を燃やすための食事療法だ。
実践するとどうなるかって? 体重が減り、糖尿病がよくなる。
加工されていない「リアルフード」を選ぼう
■原則その3――「リアルフード」を食べる
これまでも述べてきたように、脂質にもいいものと悪いものがある。炭水化物にもいいものと悪いものがある。その違いはどこにあるのだろうか。精製と加工だ。
人間の体は千年も前から、天然の食べ物に適応してきた。昔からの食生活を続けている北極圏の人たちは、生肉を食べる習慣がある。日本の沖縄の人たちは、高炭水化物の食生活をおくっている。だが、彼らが食べているのは、精製されたり加工されたりしていないものなので、砂糖はほとんど含まれていない。
どちらの地域でも、これまで高血糖、肥満、2型糖尿病などの問題は少ない。だが、伝統的な食事をしていた人たちが、高度に加工された食品や砂糖を摂るようになると、肥満や2型糖尿病がすぐに現れる。
木にパンは実らない。私たちが育てるのは植物油ではない。
最も大切なことは、リアルフードを食べるということだ。あなたが食べているものが、自然になっているものと同じであるならば、きっとそれは体にいい食べ物だろう。
それでも難しい人はファスティングがおすすめ
■原則その4――原則3まででは十分でない場合にやるべきこと
まずフルクトースを避け、低炭水化物でヘルシーな脂質を含んだ食事をし、リアルフードを食べるのは、とてもいいことだ。
だが、それだけでは2型糖尿病の進行を防いだり、重症の2型糖尿病を改善させたりするのに十分でないこともある。
糖尿病は発症までに何十年とかかることもある疾患なので、原則その1からその3までを実践したとしても、高インスリン血症やインスリン抵抗性の悪循環を断ち切ることができない場合もある。
では、原則に従ったシンプルな食生活に変えても改善しない場合はどうしたらいいのだろう。
解決策というのはたいていそういうものだが、私たちは答えをとうに知っている。
人間が大昔から行ってきた方法で、その浄化作用は世界のあらゆる地域で利用されてきた。いっさいコストはかからないし、どこでもできる方法だ。
それは何かって? 「ファスティング」だ。