【解説】“紅麹サプリ”で健康被害 「腎疾患」とは 日本腎臓学会・専門医に聞く
ソース: Yahoo Japan / 画像: - /著者: 日テレNEW
小林製薬の「紅麹原料」を含むサプリメントで健康被害が相次いでいます。摂取していた人が腎臓の疾患を発症し、死亡していたことも明らかになっています。日本腎臓学会の専門医である吉田啓医師に聞きました。
■毒素が排せつされず血中に蓄積
森圭介キャスター 「実際に商品を飲んだ30代の男性に話を聞きましたが、今月に入ってからけん怠感の症状が出たということです。吉田医師はこの症状についてどうみましたか?」 日本腎臓学会・専門医 ひらくクリニック院長 吉田啓医師 「腎臓から排せつされるべき毒素が排せつされずに血液の中で蓄積すると、けん怠感を生じる可能性があります」
森キャスター 「さらに、夜中起きなかったものの、夜中トイレに3~4回起きるようになってしまったということですが、こういった症状はあるんでしょうか?」
吉田医師 「腎臓には尿を濃縮して出す機能があるので、その濃縮機能が低下すると、『多尿』といいますが、お小水が多い状況になります」 森キャスター 「そういう症状もあるということですね。私は初めて聞きましたが、お酒をおいしく感じなくなるというのも腎臓関連の症状の1つなんですか?」 吉田医師 「可能性としてはあります。食欲が低下するというのが代表的な症状ですが、その部分的な症状が、お酒をおいしく感じないという症状なのかもしれません」 森キャスター 「それはいわゆる味覚に障害が出てくるということですか?」 吉田医師 「いえ、老廃物を出さないために体に入るものを制限しようとする生体反応じゃないかと思います」
■死亡事例 「ほかに病気があった可能性も…」
森キャスター 「ここまで腎臓への障害、1つの症例というものが出てくるということです。今回、亡くなった人も出てきていて、1人目は腎臓の疾患を発症して今年亡くなったということです。今回の死亡事例にまで至ってしまったということについてはどうみていますか?」
吉田医師 「サプリメントの薬には変わりありませんので、注意すべきということは我々医師も認識してはいますが、ここまでの重篤な状況は今回初めてですので、我々も危機感を高めているところです」
森キャスター 「こういった死亡事例まで至るということは珍しいということですか?」
吉田医師 「ここまでは珍しいケースだと思います」
森キャスター 「腎臓の障害といってもさまざまあると思いますけど、今回はどういった症状・障害だと思いますか?」
吉田医師 「尿を濃縮できないということは、腎臓で1日に100リットルくらいの尿のもとをつくって、1日の尿は1リットルですから、腎臓・体に必要なものを再吸収するわけですけれども、その機能が失われているということですね」
森キャスター 「今回の障害は最悪、死ぬということもあるんでしょうか。それとも、もともと持病があって、こういったものが併発してしまったと考えた方がいいんでしょうか?」
吉田医師 「発見されたときの状態がよっぽど悪ければ亡くなるということもあると思いますけど、透析をすれば腎臓の機能は果たすことができますので、命まで落とすということは何かほかに病気があった可能性もあるのではないかと思っています」
森キャスター 「なにか違う異変を感じたときに透析だったり、自分で調べることができていれば、もしかすると亡くなるまで至らなかった可能性もあるということですか?」
吉田医師 「そうですね、発見が早ければ亡くならなくてすんだ可能性もあると思います」
■違和感を覚えたら病院で検査を
鈴江奈々キャスター
「そうすると、早めに違和感を覚えたら病院やクリニックに行った方がいいということになると思いますが、吉田医師が診察している中でも小林製薬の対象商品を飲んだと言ってクリニックに来る人も今いますか?」
吉田医師 「先週から今週にかけて2人ほど『商品を飲んだけれども自分は大丈夫か?』と。特に症状はなかったですが、来院した人はいました」
鈴江キャスター 「心配になって来る人もいるということですね」
森キャスター 「今後、この対象の商品を飲んでいて心配している人に吉田医師から伝えられること・伝えられる対策はありますか?」
吉田医師 「腎臓症状というのはなかなか出にくいので、採血、もしくは尿検査などで病院を受診してもらう必要があると思います」
森キャスター 「受診するとすぐに採血・検査はしてもらえるものなんでしょうか?」
吉田医師 「それはできると思います」
森キャスター 「飲んでいて不安があるという人は調べていただくということですし、厚生労働省も『対象商品を購入した人は、直ちに飲むのをやめて、体に異常がある場合には医療機関を受診するか、最寄りの保健所に相談してほしい』というふうに伝えています」