減塩しても血圧は下がらない?医師が教える「高血圧の改善」に効果的な食べ物

ソース: Cookpad News / 画像: /著者: 山田周平

塩分を摂りすぎると高血圧になると昔からよく言われています。ただ、過剰に塩分制限をしてしまうと、逆に体にさまざまなリスクを引き起こす可能性があることがわかってきているそうです。そこで、塩分と血圧との関係性について、YouTubeチャンネルの登録者数が37万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。

“減塩”にアプローチしすぎるのは危険!?

食塩に含まれているナトリウムはミネラルの一種で、体液のバランスや筋肉の機能、そして神経伝達の上でも非常に重要で欠かすことができない物質です。

1999年に発表された研究では、減塩することで血圧が下がったというデータが出ているのですが、実は食塩だけではなく、糖分や加工食品の摂取も控えることによって血圧が下がっていたのです。

そのため、ナトリウムを下げたことで血圧が下がったと必ずしもいえるデータではないのですが、食塩の摂取を控えると血圧が下がるという風に解釈されてしまっています。

血圧が高い人には「塩分を控えましょう」という話ばかりをしますが、実際のところ、減塩をしても不健康な食品を摂っていたら、なかなか血圧は下がらない。だから、減塩にアプローチをしすぎると、間違いを起こしてしまうこともあるのです。

“ナトリウム不足”はさまざまなトラブルを引き起こす

そもそも血圧を下げたほうがいい理由は脳卒中や心疾患を予防するためなので、塩分制限をしてもそこが予防できなかったら意味がありません。

2016年の研究データでは、ナトリウム(塩)を制限しても心不全の死亡のリスクは下がらなかったという結果が出ています。逆に、実はナトリウム制限により心不全や死亡のリスクが上がったというデータが出ています。

1日1時間くらい運動をする人は、小さじ半分くらいの塩分が汗で出てしまいます。1日の塩分摂取量は「小さじ1.5杯(4g)程度に抑えましょう」と言われていますが、運動をする人がそんなことをしたら、簡単にナトリウム不足になってしまいます。

ナトリウム不足になると、運動能力が下がり、睡眠トラブルが起こり、熱射病や心臓トラブルも起こりやすくなります。塩分の摂取量は普段の活動量も考慮しなければいけないので、一概に減塩すればいいわけではないのです。

塩分不足は“食べ過ぎ”を起こす原因に…!?

さらに、塩分不足になると、脳の報酬系という部分が活性化されて、たくさんの刺激をほしがってしまう。砂糖や加工食品などの中毒物質をより求めてしまうので、食べ過ぎを起こしてしまうこともあります。

ナトリウムの濃度は、レニンやアルドステロン、ノルアドレナリンといったストレスホルモンにも影響を与えるので、ストレス反応によって血圧が上がったり、糖尿の原因になったり、腎臓にトラブルを抱えたりなんてことも起こり得るのです。

「カリウム」の摂取量を増やすことが大事

実はナトリウムではなくカリウム濃度が心臓血管系のトラブルに関与しているという報告が2018年にされています。カリウムの摂取量が増加すると心臓血管疾患は起こりにくくなるということがわかりました。

カリウムには動脈の壁を緩めて血圧を下げる作用があり、血圧が下がることで心臓血管疾患や脳卒中のリスクも下がるのです。

カリウムとナトリウムのバランスがとても大事なため、カリウムが多く含まれる野菜果物を中心とした食品を摂っている人は少々塩分を摂ってもそこまで影響は出ない。逆に、加工食品ばかりを食べている人は、ナトリウムの比率が高くカリウムが低いのでバランスが悪くなってしまいます。

ある研究では、「高血圧の原因はナトリウムの過剰摂取よりもカリウムの欠乏である」という報告もされています。

加工した食塩よりも“自然の塩”をなるべく使うこと!

バナナ1本には大体450mgのカリウムが含まれているので、バナナをはじめとした野菜果物をたくさん摂り、できるだけ加工食品を避けることが大切です。

また、塩に関しても、加工した食塩よりも自然の塩をなるべく使うこと

加工した塩にはナトリウムしか入っていないですが、自然の塩にはカリウムやマグネシウム、カルシウムも入っているので、相対的にナトリウムの比率が下がっています。

例えば、ヒマラヤ岩塩はほかの塩に比べてナトリウムの比率が低く、カリウムの比率が高くなっています。

基本的には、自然の塩を使いつつ、野菜果物をしっかり摂っていれば、塩分の制限を過剰に考える必要はないということを理解しておいてください。

(TEXT:山田周平)