若者たちがハマる「高カロリーフード」流行の真相

ソース: 東洋經濟 / 画像: 原田 曜 著者: 原田 曜平

「ジャンキー×写真映え」という新しい潮流

コロナ禍の中で若者に流行する「ギルティフード」とは?

新型コロナウイルスの感染者数が落ち着きつつありますが、1年半以上に及ぶ未曾有のコロナ禍は、Z世代の若者たちに大きな影響を与えました。

人格形成がなされる多感な時期に、彼らはどのような影響を受け、どのような変化をしたのでしょうか? これから数回のシリーズで「コロナ禍に起こったZ世代の変化」についてお届けしていきたいと思います。

日本の未来を担うZ世代の若者たちの変化を追うことは、日本の未来や未来の市場を考えることに他なりません。

1回目の今回は、実はコロナ禍にZ世代の間でカロリー満点のいわゆる「ギルティーフード」(カロリーが高くて罪悪感を感じる食べ物)が大流行していたことを現役大学生がレポートしてくれます。なぜこのコロナ禍で、Z世代の若者たちの間で「ギルティーフード」が大流行したのでしょうか?

叩いて広げた鶏胸肉にスパイスで下味を付け、衣をつけて揚げた台湾唐揚げ。衣のカリカリ食感とシナモンや山椒が入ったスパイス五香粉のスパイシーな味わいが食欲をそそる。元は台湾夜市の屋台グルメとして販売されていた。

揚げ物はただでさえカロリーが高いうえ、台湾大鶏排は自分の顔ほどの大きさがある。SNS投稿した若者は「大きな口を開けて高カロリーなものを食べたことに幸福感と達成感を抱く」と語っていた。

 

2019年5月に三軒茶屋にオープンしたカフェ。パンをアレンジし、ユニークなメニューの提供をしている。

食パンにハムとチーズを何層にも重ね揚げたハムカツや、丸ごとプリンがサンドされたパン、おはぎをパンで包みその周りをあんこで包んだパンなど、いかにもハイカロリーのメニューが提供されている。

インパクトのある見た目に、揚げ物や甘い物といったカロリーの高そうな具材。この店のファンの若者は、「普段食べ物を制限しているので幸福感を感じる」という。

新宿や有楽町にある「台北餃子次次」や系列店の西荻窪にある「台北餃子張記」などで提供されている麻婆豆腐。それが器から受け皿にまで溢れ出ているメニューだ。

もはや美しいとはいえない見た目のインパクトが、SNS映えする。

以上、さまざまな「ギルティー映え」について取り上げた。近年の若者は、綺麗でお洒落な食べ物や場所によってインスタ映えを狙っていたが、今の若者はギルティフードのようなインパクトのあるもので映えを狙う傾向がある。

外出が自由にできず、健康に気を付けなければならない現状だからこそ、ストレスは生まれる。そんなストレスを発散しながら、更にインスタ映えも狙いたいという欲張りな若者に刺さるような新しいコンテンツが、今後も生まれてくるのではないだろうか。

原田の総評:コロナストレスを和らげるために

現役大学生の「ギルティー映え」についてのレポートはいかがでしたでしょうか?

アルコールが禁止されているドバイでストレス発散のためにスイーツが発展しているように、長く続くコロナ禍においてZ世代の若者たちの間ではコロナストレスを和らげるために高カロリーの「ギルティーフード」がはやったのかもしれません。

何度も繰り返される緊急事態宣言によって、人に会ったり、水着を着て海やプールに行く機会が減ったということもあり、例年に比べると体型を気にしなくてもよかった、ということも「ギルティーフード」の流行の理由のひとつかもしれません。

いずれにせよ、ダイエットや体型を気にしてきた若いZ世代が、様々なギルティーフードを体験したこの1年半、彼らの間に「たまにはギルティーフード」「ギルティーフードによるストレス発散」という食生活は根付いたかもしれません。

様々な飲食メーカーは、この彼らの間にコロナ禍に根付いた新しいニーズを今後も狙っていくとよさそうです。