「どのタイミングで飲むとよい?」「たくさんの種類を飲んで大丈夫?」

ソース: House E-mag / 画像: House E-mag / 著者: House E-mag

体に必要な栄養素の摂取を補助してくれるサプリメント。コンビニエンスストアなどでも手軽に購入できることもあって、ライフスタイルに取り入れている人は多いことでしょう。でも、さまざまな情報が氾濫しすぎて、自分にとって本当に必要なものなのか、効率的に摂取できているのかなどを見極められないこともあるもの。そこで、サプリメントに関するウソ・ホントを、NRサプリメントアドバイザーに教えてもらいました。

必要な栄養素を上手に摂取するために。サプリメントに関するウソ・ホント

せっかくサプリメントを摂っていたのに、実は意味がなかった……なんてことになると、費やしたお金も時間ももったいないというもの。そんな残念な状況に陥らないためにも、サプリメントに関する正しい情報を知っておくようにしましょう。よく耳にするウワサや、誤解されがちな話の真相を探ってみたので、参考にしてください。

Q1 サプリメントを飲んでいれば食事は必要ないってホント?

A × サプリメントだけでは、必要な成分はまかなえません

サプリメントは特定の栄養素を抜き出して濃縮したものですが、体を維持するためのすべての栄養素がサプリメントになっているわけではありません。

たとえば、炭水化物。糖質制限でカットする人はいても、わざわざそれだけをサプリメントで摂ることはないですよね。でも、炭水化物を削ってタンパク質ばかり摂っていては、腎臓の負担を高めてしまい、不調の原因になることも。また、サプリメントになっているのは人に発見された栄養素のみですが、新たな発見が続くポリフェノールのように、食べ物にはまだ見つかっていない栄養素も含まれていると考えられます。こうした成分が摂取できないこともあるので、サプリメントはあくまで食事の補助をするものと考えましょう。

Q2 できるだけ多くの種類を飲んだ方がよいってホント?

A × 体に負担がかかることもあるので要注意

サプリメントには、相性のよい成分もあるのですが、一緒に摂らない方がよい成分もあるので自己判断はおすすめできません。

たくさんの種類を飲めば、重複している成分を摂りすぎることで健康を害する可能性もあります。さらに、不調が出た時に、「どのサプリメントが原因か?」がわからなくなってしまうこともあります。自分にとって本当に必要な成分を見極め、できるだけ飲みすぎないようにしてください。
もし、複数の成分をサプリメントで摂りたい場合には、それぞれ別のサプリメントを飲むのではなく、ひとつに配合されているものを検討してみては。コストパフォーマンスが良く、飲み合わせの影響も考慮されているためリスクが避けられます。

Q3 飲む時間は気にしなくてもよいってホント?

A △ 種類によってはおすすめの飲む時間があるものも

サプリメントは医薬品ではないので、「食前」「食後」など具体的な飲むタイミングを記載することができません。

それでも厳密にいうと、種類によってはおすすめのタイミングが変わってきます。たとえば、食物繊維の働きで糖の吸収を抑えるサプリメントなら、食前や食後などに一番効率的に成分が働きます。胃の中に食べ物が入っていない時には、あまり意味がないのです。

このほか、ビタミンBのような水溶性ビタミンは空腹時に吸収率がアップしたり、ビタミンDなどの脂溶性ビタミンは油脂を含む食事と一緒に摂った方が良かったりといったことも言えますが、前述の食物繊維ほど気にする必要はありません。それよりも、時間ごとに飲み分けているといずれ面倒になり、長く続けにくくなることが考えられます。多少の差はあっても摂った成分がゼロになることはないので、特定のタイミングを推奨している製品以外は、無理なく続けられるタイミングを優先して大丈夫です。

Q4 お酒を飲んでいると影響があるってホント?

A ○ 成分が働きにくくなる、もしくは働きすぎる可能性アリ

「大酒飲みは薬の効き目が悪い」と言われますが、これは肝臓が日常的にアルコールの代謝を早めた状態になり、薬の成分も早く排出してしまうため。
サプリメントでも同じことが言えて、お酒を常飲している人やアルコールが抜けるのが早い人は、サプリメントの影響を実感しにくくなる可能性があります。逆に、アルコールと一緒に飲んでしまうと、肝臓がアルコールを優先して排出しようとし、サプリメント成分の排出が後回しになることも。そうすると、体内濃度が高まるため、必要以上に成分を吸収してしまうケースも。特にハーブ類のサプリメントは過度に吸収されてしまうと影響が大きいので気を付けましょう。

Q5 子どももサプリメントを飲んだ方がよいってホント?

A × 基本的には子どもがサプリメントを飲む必要はありません。ただし、飲んだ方がよい子もいます

極端に食が細い、あるいは発達障害などが原因で強い偏食が見られる子どもなら、食事の補助として取り入れてもよいでしょう。目が見えづらい子がいるのと同じように、食べられないのはワガママではなく体質の問題。無理やり食べさせようとすると食事自体が嫌いになり、大人になっても食べることが苦痛になる場合もあるので、見えづらい子にとってのメガネと同様、サプリメントを補助具として活用してみてください。なお、子どもに好き嫌いがあっても、成長曲線に沿って発育していて体調不良がないなら、特に心配はありません。

Q6 妊婦はサプリメントを飲んではいけない?

A × 妊娠を予定する人や妊婦に対し、国が唯一推奨するサプリメントが葉酸

これは、葉酸が不足すると胎児に二分脊椎症などの障害が発症するリスクが高まるためです。また、ビタミンやミネラルといった一般的なサプリメントなら過剰摂取しない限り、妊娠中に飲んでも心配はありません。ただ、注意したいのはハーブ類のサプリメント。種類によっては、妊娠中によい影響を与えるものもあれば悪影響を及ぼすものもあるので、自己判断で摂取する前に、必ず主治医と相談するようにしましょう。

Q7 薬の服用中にサプリメントを飲んでも大丈夫?

A × 悪影響を及ぼす可能性があるので、自己判断は禁物

薬とサプリメントの組み合わせによっては、効果が高まることもある反面、「悪影響」を及ぼす可能性もあります。
たとえば、血液をサラサラにする効果がある薬と一緒にDHAやEPAといったサプリメントを飲むと、ケガをした際に出血が止まらなくなることがあります。万が一、脳内出血を起こしたら、命に関わりかねないので絶対に避けましょう。

また、ハーブ類のサプリメントは薬の代謝を早めたり遅くしたりすることがあるので、こちらも注意が必要。一方で、ビタミンEは肝機能を助ける働きがあるので、肝疾患の患者によい作用をもたらすという報告もあります。いずれにせよ、薬を飲む際には自己判断を避け、処方している医師や薬剤師に相談するようにしてください。

Q8 サプリメントで栄養を摂取すると、食事から栄養が摂れなくなる?

A × 信頼できるデータはありません

昔からまことしやかに言われていることですが、根拠となる実験結果などは発表されておらず、信憑性に欠けるお話です。
それよりも吸収率との関係性が深いと考えられるのは、体の調整機能や腸内環境。たとえば鉄分なら、貧血になりやすい人の方がなりにくい人よりも体内での吸収率がアップするなど、私たちの体はコンディションに合わせた調整を行っています。この機能の働きは大きいので、サプリメントを飲んだからといって一概にほかからの栄養素が吸収できなくなるとは言えません。

Q9 一瓶飲んでも違いを実感できないならやめるべき?

A × おなかの調子を整えるもの以外は、長期摂取が必要

サプリメントをどのくらいの期間、続けるべきかは成分によって変わるもの。たとえば、おなかの調子を整えるものは、比較的早めに変化がわかります。
2週間ほど摂取して便通が良くなった、ということもあるので、1カ月ほど続けてみて変化がない場合はサプリメントを見直すべきでしょう。一方、肌の調子を良好にするものの場合は、肌のターンオーバーを考慮して30日〜40日ほどの継続が必要。また、爪を丈夫にするサプリメントなら、新しい爪になるまでの半年間は様子を見たいですね。骨は2年周期で新しく生まれ変わるので、骨を丈夫にするサプリメントは半年ほど続けて測定を。まったく変わらないなら見直すことも必要でしょう。

手軽に購入できるからこそ、自分に必要なものを冷静に見極めて

サプリメントは健康な体をつくっていく道具のひとつ。飲んでいるからといって、食事や運動、睡眠などを疎かにしてよいわけではないので、生活を見直すきっかけのひとつとして取り入れるのがおすすめです。

選ぶ時は、流行の成分やパッケージの謳い文句に流されがちな人もいるかもしれませんが、自分にとって必要な成分か、必要な量が入っているかは大事な要素。成分や量を理解せずにサプリメントを買うのは、サイズのわからない靴を通信販売で買うのと同じことです。自分にとって必要かどうかを判断した後は、続けるためにも月々いくらほどかかるのかといったことも、必ず把握を。長期間服用することになるものなので、それこそ生命保険を選ぶ時のように、冷静かつ慎重に判断するようにしてください。