認知症を予防するなら食事を変えて!基本ルール
ソース: ハルメク365 / 画像: イラストレーション=飛田冬子、撮影=小林キユウ /著者: 松尾肇子(編集部)
認知症予防のためには、運動やコミュニケーションが大切。実は、それよりも「食生活」に大きな影響があるといわれています。長年の研究で明らかになった“認知症予防に最強の食事術”とおいしいレシピを紹介します。脳に良い食材・悪い食材も併せてチェック!
教えてくれた人:医師の猪原匡史(いはら・まさふみ)さん
国立循環器病研究センター脳神経内科部長。英国留学、先端医療研究センターなどを経て、2016年より現職。専門は、脳卒中・認知症の診療と、食事や薬による認知症治療の研究。
アルツハイマー型認知症の原因は“脳のごみ”の蓄積
「脳の健康の大きなカギを握るのは“血管”です」と語るのは、認知症専門医の猪原匡史さん。「アルツハイマー型認知症の原因は、脳に“アミロイドβ”と呼ばれる物質、いわば“脳のごみ”がたまること。
アミロイドβは普通、短期間で血液にのって排出されますが、加齢に伴って血管が硬くなると、うまく排出されなくなります。蓄積したアミロイドβが脳の神経を死滅させるのが認知症の原因なので、予防には、血管を若いときのようにしなやかに保つことがとても重要なのです」
野菜だけじゃだめ!脳にごみをためない食事の基本ルール
たんぱく質は魚、鶏、豆を優先
牛、豚など赤身の肉は飽和脂肪酸が多く、とり過ぎると血管が硬くなる原因に。週4日以内にとどめ、魚や鶏肉を積極的に。悪玉コレステロールを減らす働きのある豆類もおすすめ。
ナッツ、ベリーに注目
いずれも抗酸化作用が高く、脳の働きを維持するのに有効。ナッツは血流をよくするビタミンEも豊富。「おやつにアーモンド、サラダにブルーベリーなど、積極的に取り入れましょう」
油はオリーブオイルを優先
オリーブオイルは、動脈硬化を防ぐポリフェノールの他、細胞の老化を防ぐ成分も豊富。特にエキストラバージンオリーブオイルが効果的とする報告も。意外と和食にも違和感なく使える。
■減塩&低カロリー
塩分のとり過ぎは高血圧に、カロリーのとり過ぎは肥満につながり、いずれも血管の負担に。1食当たり塩分2g未満、500kcaL台を目標にし、間食の塩分、カロリーも控えめに。
塩分控えめ、カロリーと脂質を抑えて血管を守る!
では、血管を守るにはどうすればよいのでしょう。
「アメリカで行われた大規模な研究で、肉やバターなど動物性脂肪を控え、抗酸化作用が高い野菜や、神経細胞によい脂肪酸を含む食品をたっぷりとると、認知症になりにくいことがわかりました」と猪原さん。
日本人が実践するなら、主食はビタミンやミネラルが豊富な玄米を。高血圧にならないよう塩分を控えること、動脈硬化を防ぐためカロリーと脂質を抑えることも、大切なポイントです。
脳におすすめの食材と食べ過ぎ注意の食材をチェック!
1週間単位で食べたもの、食べなかったものをチェック。平均9項目以上を目指しましょう。
おすすめ食材
魚…週1回以上(なるべく多く)
鶏肉…週2回以上
緑黄色野菜…週6回以上
その他の野菜…1日1回以上
ナッツ類…週5回以上
豆類…週3回以上
イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー…週2回以上
全粒穀物(玄米、全粒粉パンなど)…1日3回以上
オリーブオイル…優先して使う
ワインまたは緑茶…1日1杯
食べ過ぎに注意する食材
赤身の肉…週4回以下
バター…できるだけ少なく
チーズ(モッツァレラチーズを除く)…週1回以下
お菓子…週5回以下
ファストフード…週1回以下
次回から“脳にごみをためない最強献立!”を紹介します。
取材・文=松尾肇子(編集部)、調理=藤井恵、イラストレーション=飛田冬子、撮影=小林キユウ、スタイリング=カナヤマヒロミ、栄養計算=酒田彩子
※この記事は、雑誌「ハルメク」2023年11月号を再編集しています。