「テレビでは絶対教えてくれない」食品添加物の超簡単な見分け方
ソース: Diamond Online / 画像: PIXTA/ 著者: 垣田達哉
旬を迎える食材が多い「食欲の秋」。食材選びで添加物が気になる人は多いだろう。添加物を見分けるのは知識がないと難しいと思っているかもしれない。だが、昨年4月以降、原材料の表記方法が変わり、誰でも超簡単に見分けることが可能となった。(消費者問題研究所代表 垣田達哉)
添加物が一目でわかる
スラッシュルール
まずは表示例(1)を見てください。この原材料名を見て、どれが添加物か分かりますか?
ヒントは「記号に注目」です。
正解は、酵母エキスの後ろにある「/」(スラッシュ)の記号以降のすべてです。
2015年に施行された食品表示法(完全施行は20年4月1日)では、「原材料と添加物を明確に区別して表示すること」が義務付けられました。
その結果、原材料名の表記において、「/」から前が原材料、「/」から後ろが添加物と、区分されるようになったのです。
20年4月1日以前は、「原材料を重量順に、その後に添加物を重量順に表示すること」になっていましたが、原材料と添加物の明確な区切りはなかったのです。
そのため、添加物に詳しい人でなければ、原材料名の表示のうち、どれが添加物なのかが分からない状態でした。
ところが食品表示法では、原材料と添加物を区別するために「、」ではなく「/」などを使わなければならなくなりました。
このスラッシュの意味さえ知っていれば、どこからが添加物なのかが一目でわかるのです。筆者は「スラッシュルール」と呼んでいますが、このルールのお陰で、とてもわかりやすい表示になりました。
ほとんどの事業者が
スラッシュを使う理由
原材料と添加物を区別して表示をする方法は「/」だけではありません。
そもそもは次の表示例(2)のように「原材料と添加物の欄をそれぞれ設ける」ことになっています。
ただこの方法では、表示エリアが広くなること、および、添加物があまりにもハッキリわかってしまうことから、ほとんどの事業者は、特例として認められているスラッシュルールを使って表示をしています。
なお、特例表示は「/」以外にも2種類ありますが、ほとんど目にすることはありません。
なぜ「/」にしているかというと、大きく二つの理由があります。
一つ目の理由は「食品表示法施行前の表示と比べて文字数が変わらない」ことです。「、」を「/」に変更するだけなので、原材料表示欄の行数が増えず、デザイン変更をする必要がなかったからです。
そして二つ目の理由は、一番目立たない方法なので、消費者がスラッシュルールを知らなければ「表示が変わったことに気付きにくい」ということです。
テレビや新聞、雑誌などのマスコミでは、新表示についてほとんど報道していないので、多くの消費者がこのことに気付いていません(実は食品業界の関係者ですら知らない人が多いのです)。
特にテレビでは、添加物を扱うことはタブーになっているので、私の知る限りこのルールを取り上げた番組はありません。
ところが、消費者の皆さんは添加物の知識に飢えています。私は、講演会の時に、必ずスラッシュルールについてクイズを出しますが、クイズの回答で「/」以降が添加物だと知った途端、消費者の皆さんの目の色が変わります。驚きとともに「これはいいことを聞いた」という表情をされます。
以前は、講演会などで「どこからが添加物なのですか?」「何か決まりはないのですか?」とよく質問されていましたが、今は「/以降が添加物です」と簡単に答えられるようになりました。
同じ食品で見比べると
添加物の違いがよくわかる
スラッシュルールを知っていると、いろいろなことが見えてきます。
次の表示例(3)と表示例(4)を見比べてください。
表示例(3)の焼きちくわに使われている添加物は「調味料(アミノ酸等)」の1種類。
一方、同じ焼きちくわでも、製造者が異なる表示例(4)の焼きちくわに使われている添加物は「加工でん粉、調味料(有機酸等)、貝Ca」の3種類です。さらに表示例(4)には、アレルゲン(アレルギー反応を起こす原因となる物質)の卵と大豆も含まれています。
この二つの商品の値段が同じなら、あなたはどちらを選びますか?
きっと、添加物が少ない方を選ぶ人が多いと思います。
添加物の表記がわかりやすくなったので、「えっ! 加工でん粉って添加物だったの」と気が付く人もいるでしょう。「貝カルシウムって必要な添加物なの?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。「魚肉以外に植物性たんぱくって、どうして使ってるの?」と、原材料にも関心を持つかもしれません。
一般的な緑茶飲料の原材料名は「緑茶(国産)/ビタミンC」と表示してあります。「/」以降が添加物なので、ビタミンCが添加物だということがわかります。
「なぜ、お茶に添加物を使っているのだろう?」と関心を持ったら、パソコンや携帯で「ビタミンC添加物」と検索してみましょう。「品質保持」「酸化防止」「製造工程で失われたビタミンCを添加」といった説明がされています。
どんな説明に納得がいくでしょう。いずれにしても、添加物のビタミンCを加えなければ商品にならないということは確かです。
スラッシュルールを知って、ぜひ、今まで以上に食品表示に関心を持ってみてはいかがでしょうか。