健康に良い食品かどうか一目でわかる指標「NRF」に注目 コロナ対策にも有効

ソース: 日刊ゲンダイヘルスケア / 画像: 日刊ゲンダイ / 著者: 日刊ゲンダイヘルスケア

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コロナ対策では、ビタミン、ミネラルの摂取も重要。免疫力を強化し、感染予防や重症化予防につながることが認められているからだ。そこで「健康に良い食品かどうかが一目でわかる指標」として注目を集めているのが、NRFだ。

NRF(Nutrient-rich food index)は、日本語では「高栄養素食品指数」と呼ばれる。アメリカのDrewnowski博士が開発したものだ。女子栄養大学副学長で自治医科大学名誉教授の香川靖雄医師が説明する。

「簡単に食品の栄養を評価できるよう開発された指数です。推奨すべき9つの栄養素であるタンパク質、食物繊維、ビタミンA・C・E、カルシウム、マグネシウム、鉄、カリウムが含まれていればプラス。制限すべき飽和脂肪酸、糖類、ナトリウムが含まれていればマイナス。100キロカロリー中の推奨すべき栄養素の量と制限したい栄養素の量から、どれくらい体にいいかを相対的に評価しています。数値が高いほど健康にいい」

同じ食品群でも、栄養価の高い食品、低い食品と区別できる。具体的に見てみよう。

穀類であるそばと即席中華麺。そばは食物繊維、マグネシウム、鉄が多いのでNRFは「68」だが、食塩や飽和脂肪酸が含まれる即席中華麺は「マイナス3.7」。白米ご飯のNRF「4.3」に対し、食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富な玄米ご飯は「35.4」になる。

「野菜は、栄養素が豊富な上に飽和脂肪酸、糖類、ナトリウムが含まれていないため、いずれもNRFが高い。一方、漬物になると食塩が多いのでNRFが低くなります」(香川医師=以下同)

魚介類、肉類も、「そのまま」はNRFが高いが、加工品になると食塩や飽和脂肪酸が多くなるのでマイナスになる。果物はNRFが高く、ジャムはマイナスとなるのは、前者は食物繊維やビタミンなどが豊富なのに対し、後者はそれらが少なくなり、しかも糖類が多くなるからだ。

■加工品より「そのまま」を

食品群別でも、NRFの平均値が出ている。それによれば、海藻類、野菜類、キノコ類がNRF3桁(それぞれ330、241、225)と極めて高くトップ3。豆類、果実類、魚介類、種実類、芋類が80~50台。卵類、肉類、穀類、乳類と続き、菓子類は最も低い4.6。

これらの結果を念頭に置いて食品選びをするといいのは、もともとタンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど推奨すべき栄養素の摂取量が少ない日本人において、コロナ禍でより栄養バランスの偏りが見られてきているからだ。

「コロナ前と後の外食支出の変化からもわかるように、コロナ以降、外食は大幅に減少し、中食(市販の弁当や総菜、テークアウト品)と内食が増えています。農水省の『食育に関する意識調査』では、主食、主菜、副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている日本人の割合は、コロナ禍の2020年に激減。これによって生じるのは、特に野菜、魚、果実の摂取量の低下で、結果、栄養面ではビタミン摂取量が低下してしまうのです」

コロナの前になるが、2019年の国民健康・栄養調査結果では、1日当たりの野菜必要量に届いている年代はナシ。魚は2008年を境に肉の摂取量を下回りずっと下降。果物は1人当たり1日の消費量、世界平均203グラム、アジア平均181グラムをいずれも下回る140グラムとなっている。

「ビタミンの摂取量が少なければ、前出の通り感染症のリスクが高くなりますし、長期的には認知症、うつ病、心血管障害などのリスクを高めます。NRFを活用し、食べるべき食品を正しく選んで欲しい」

NRFは論文で発表されていてインターネットでチェックできるが、一般の人には難解かもしれない。実際に食品を選ぶ時は、できる限り素材そのままのもの、加工していないものにする。前述した食品群でNRFが高いものが多くなる献立にするのも手だ。