甘いものを食べるときは必ず見ろ…「原材料表示」の先頭に書いてあったら注意するべき「糖質の種類」

ソース: Yahoo Japan / 画像: Getty Images、現代ビジネス/著者: 川口 美喜子

人生100年時代に突入して、1人の人が生涯に「食べる」回数は人生50年、80年時代に比べて数万回増えました。何をどう食べるかで体にはどんな影響があるのか。そして何をどう食べないようにするかも大きなポイントの一つ。高齢者栄養ケアの第一人者が薦める“長生きできる食べ方”を『100年栄養』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成して50代から減らしたい「砂糖とアルコール」について解説します。

私は、長く病気の人の栄養ケアに携わってきた経験から、50代からは、「3つの大幅削減」を呼びかけています。  その3つとは、「塩・砂糖・アルコール」。  これらをとりすぎないことが、中高年の生活習慣病予防の鉄則です。  前編記事『“長生きする人”が心がけている「減塩」の仕方…百害あって一利なしの「食塩」の常識』では「塩」について解説しました。  今回は「砂糖とアルコール」について解説します。

甘いものを食べるときは「原材料表示」を必ず見る

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砂糖は、どれくらいとると健康に悪影響が出るのか、はっきりわかっていないので日本では摂取基準は示されていません。しかし、とりすぎると必ず体重増加をまねきます。

WHOは肥満や虫歯予防のため、1日あたりのフリーシュガーの摂取量を、エネルギー総摂取量の10%未満に減らすようにすすめています。

 フリーシュガーとは、あらゆる単糖類・二糖類(糖アルコールは除く)のことで、砂糖や異性化糖のほか、はちみつ、シロップ、果汁などに含まれる糖類の総称です。  

さらに5%まで減らして、1日25g(ティースプーン6杯分)程度に抑えるとより健康効果がある、とも公表しています。  

ティースプーン6杯までいいの? いまそう思った人もいるかもしれませんが、普段、1日に食べている調味料や加工品、菓子、清涼飲料水などに含まれる砂糖を全部足すと、ティースプーン6杯どころではない人も多いのです。  

健康診断で「糖尿病予備群」「中性脂肪値の高さ」を指摘されている人は、とくに注意が必要です。  

まずは、「何を口に入れるか」を知ることを習慣にします。甘いお菓子、甘煮の市販品、飲料を買ったときにはパッケージ裏の「原材料表示」を必ず見る習慣をもちましょう。  

たとえば、お饅頭を買うにしても、裏の原材料表示の筆頭に「砂糖」「果糖ぶどう糖液糖」などと書かれていないか確認し、そう書いてあったら買う機会を減らしてみましょう。また、カロリーは1回のおやつにつきエネルギー200以内を目標にしてください。  

甘味は、疲れやストレスを癒してくれると感じるものかもしれません。ならば自分がどういうときに甘いものを食べたくなるか、ちょっと気をつけてみましょう。  

何かのタイミングや一定の時間など、独自のクセがありませんか? 1日に2回以上、そんなクセが出ると気づいたら、一番やめられそうなタイミングだけでも、甘いものを食べたり、飲んだりするのをやめてみましょう。  

ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、行動を変えた恩恵は自分に返ってきます。口さみしい場合は、甘くない間食、「ナッツ」「小魚」「煎り豆」などに替えます。

若いころとは「お酒の飲み方」を変える

アルコールのとりすぎは、中性脂肪が肝臓内に蓄積して肝臓に負担をかけ、「脂質異常症」につながることもあります。

また、大量の飲酒は脳萎縮を生じさせるほか、アルコール依存症などの精神疾患認知症の発症リスクとなることもわかっています。  

適度な飲酒量は、男性と女性、65歳以上の高齢者では違います。個人差はあるものの、女性や高齢者はアルコールを分解する能力が低い人が多いため、お酒の悪影響を受けやすいからです。女性は男性より「少なめ」が推奨されていて、半分程度と考えたらいいでしょう。

男性の適量は純アルコール量として1日平均20g程度。一般的に飲まれているお酒にすると以下のようになります(女性、高齢者、飲酒後に顔が赤くなる人はこの半分)。  また、すべての人に「週に2日、連続した休肝日(アルコールを飲まない日)をもつこと」が推奨されています。

  • 日本酒(アルコール度数15%) 1合(180ml)

  • ウイスキー(アルコール度数40%) 

  • ダブル1杯 ビール(アルコール度数5%) 中瓶1本(500ml)

  • 缶チューハイ(アルコール度数7%) 1缶(350ml)

  • 焼酎・泡盛(アルコール度数25%) コップ1/2杯(100ml)

  • ワイン(アルコール度数12%) ワイングラス2杯(200ml)  

この適量表を見ると、夕飯と一緒に軽く晩酌する程度が適量で、宴席などでは多くの人が「飲みすぎ」になると気づくかもしれません。体にとって、アルコールはそれだけ負担が大きいものだと理解してください。

飲むならおつまみや水と一緒に、2日連続の休肝日も

大量の飲酒で生じる脳萎縮は、断酒で改善するとされています。  

しかし、脳萎縮以外にも、アルコールには老化で起こる記憶・学習能力の低下を加速させる可能性が示されています。つまり、「飲みすぎ」を続けていた時期があると、お酒をやめてしばらく経ったあとにアルコール依存症などの精神疾患が生じたり、認知症の発症リスクとなったりする場合もある、ということです。

普段は適量を守り、宴会に出かける前には「自分にやさしい飲み方」をちょっと考えてから行きましょう。  

お酒を飲む習慣がある人なら、一度や二度、「失敗した」と思った記憶があるでしょう。翌日まで影響した「飲みすぎ」記憶を思い出して、「ピッチが速かった」「チャンポンした」「つまみを食べずに杯を重ねた」「はしごをした」など、思い当たる原因をピックアップして、同じ轍を踏まないようにしたいもの。

私も自分によく言い聞かせています。お酒は必ずおいしいつまみと一緒に。アルコール度数の高いお酒は水(チェイサー)も一緒に。あとで「楽しかった」と振り返ることができる酔い方をしよう。週に2日、連続して休肝日をもとう。  
毎週、自分の意志と、ちょっとの努力が試されていると思っています。