意外と知らない〈エナジードリンクの糖質量〉血糖値への影響は?管理栄養士が解説

ソース: Yoga Journal / 画像: - /著者: いしもとめぐみ 

リフレッシュしたいとき、眠気や疲れが取れないときにエナジードリンクを利用する方は少なくないでしょう。エナジードリンクを飲むと、力がみなぎってくる気がしますよね。ただし、毎日のようにエナジードリンクを飲んでいる方は要注意です!この記事では、エナジードリンクに含まれる糖質について管理栄養士が解説します。エナジードリンクを常用している方は、その習慣を見直すきっかけにしてくださいね。

エナジードリンクに含まれる糖質量

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現在「エナジードリンク」と称したさまざまな商品が販売されていますが、エナジードリンクには明確な定義はありません。実はお茶やジュース、炭酸飲料と同じ清涼飲料水に分類される飲み物なのです。

エナジードリンクを飲むと元気になる気がするのは、カフェインと糖質が含まれているため。カフェインは、コーヒーや紅茶に含まれる成分として知られていますね。カフェインには覚醒作用があり、眠気を取ったり頭をスッキリさせたりする効果が期待できます。

糖質は脳のエネルギー源になる栄養素です。仕事や勉強で脳を使うと、糖質が消費されます。疲れたときに甘いものを食べたくなるのは、糖質が枯渇して脳がエネルギー不足になっているためです。

エナジードリンクには多くの糖質が含まれています。糖質量は商品により異なりますが、複数のエナジードリンクを調査したところ、100ml当たり10g以上の糖質を含むものがほとんどでした。エナジードリンク一缶には30g前後の糖質が含まれており、なかには50g近くの糖質を含むものもありました。

ティースプーン1杯分の砂糖はおよそ3g。そのためエナジードリンクを一缶飲むと、ティースプーン約10杯分もの砂糖を摂取することになります。

血糖値の乱高下による影響

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一度に多くの糖質を摂取したときに心配されるのが、血糖値の乱高下です。

エナジードリンクを飲んで多量の糖質を摂取すると、血液中のブドウ糖(糖質)の濃度を示す血糖値が急上昇します。すると血糖値を下げるホルモン「インスリン」が必要以上に分泌されて、血糖値は急降下。エナジードリンクで大量の糖質を摂取したはずなのに、低血糖状態になってしまうのです。

低血糖状態になると脳のエネルギーが不足し、頭がぼんやりして集中力が低下します。眠気や疲れを感じることもあります。頭をスッキリさせるためにエナジードリンクを飲んだはずなのに、本末転倒ですね。

エナジードリンクによる健康リスクを知っておこう

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エナジードリンクを常用して血糖値の乱高下を繰り返していると、血管にも負担がかかります。血管が傷つくと動脈硬化が引き起こされて、心筋梗塞脳卒中の危険性が高まるでしょう。

血糖値の乱高下は糖尿病の入り口でもあります。糖尿病はインスリンの分泌や働きに異常が起きて、血糖値が下がりにくくなる病気です。糖尿病になると動脈硬化や高血圧のリスクが高まるだけではなく、腎臓や眼の網膜、神経に合併症が起こるおそれがあります。

また、糖質の過剰摂取は肥満をまねきます。肥満自体が糖尿病や高血圧のリスクを高めるうえに、心筋梗塞や脳梗塞、痛風、脂肪肝などさまざまな疾患の原因になるでしょう。体重が増えて膝や腰に負担がかかり、関節痛をまねくこともあります。

エナジードリンクをいざというときに利用するのは問題ありませんが、多量の糖質が含まれるため常用はおすすめできません。エナジードリンクの健康リスクを理解したうえで、適切に利用するようにしましょう。

【参考文献】
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」