日本は海外より使用可能な添加物数が多い?添加物の実態や安全性を専門家に聞いた
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食品の加工や保存、味付けなどに使用される添加物。食品を購入する際、どのようなものが入っているか確認する人も多いだろう。 “添加物は健康によくない”、“日本は海外より使用可能な添加物数が多い”などという情報を見かけることもあるが、真偽のほどはいかがなものか。「教えて!goo」にも「外食に含まれる添加物が不安です」と、健康へのリスクを気にするユーザーから投稿が寄せられていた。そこで今回は、NPO法人「食の安全と安心を科学する会」理事長の山﨑毅(たけし)さんに、日本における使用可能な添加物の実態に加え、天然添加物と化学添加物の違いや、摂取量に気をつけた方がよい添加物について話を聞いた。
■日本は海外より使用可能な添加物数が多い?
日本では海外に比べ、多くの添加物を使用できるという話もあるそうだ。各国で使用可能な添加物数を示す情報はネットにも多く見られるが、実際のところはどうなのか。
「ネットの情報は出典不明で誤情報も多くあります。海外では香料や天然食品成分を添加物に分類しないのが一般的です。そのため、分類法の異なる日本の添加物数が多いと誤解されがちです。食品安全の専門家による国際比較情報では、日本466、米国1455、EU333、メキシコ691、中国537の添加物が使用可能と示されています」(山﨑さん)
そもそも山﨑さんは、「使用可能な添加物数が多いほど健康によくない」という考え方を支持しないとか。
「16世紀の医師パラケルススは『毒か安全かは量で決まる』という名言を残しています。水や塩も多量に摂れば毒になります。添加物も同様で、摂取量が少量なら毒になりません。日本で許可されている添加物は、国が綿密なリスク評価をし、生涯食べ続けても健康を損なう恐れのない配合量で使用することを食品衛生法で義務付けています」(山﨑さん)
ただし、複数の食品添加物の相互作用で起こる“複合影響”がある場合は、より明確な法規制が入るという。
「清涼飲料水において、添加物の安息香酸(あんそくこうさん)とアスコルビン酸を併用すると、有害なベンゼンが発生する可能性があります。日本では“ベンゼンが検出されたら違法である”と、食品企業に通達しています」(山﨑さん)
他にも、“グレープフルーツと降圧剤・高脂血症治療剤”や 、“納豆・青汁とワルファリン”などの飲み合わせによる複合影響は、医薬品が人体に作用した場合にのみ発生するという。添加物と食品の組み合わせだけで複合影響が起こるのはまれだそうだ。
■天然添加物と化学添加物の違い
添加物は、動植物や微生物、鉱物などから製造される「天然添加物」と、化学合成や発酵などにより製造される「化学添加物」に分類される。安全性の違いはあるのだろうか。
「天然添加物は、喫食実績が25年以上であれば一般の食品成分と同程度のリスクと専門家が評価しています。化学添加物は、より詳細な安全性試験のデータが要求され、生涯食べ続けても人体に悪影響のない摂取量が使用基準として許可されます。単純な比較は難しいですが、化学添加物の方が綿密なリスク評価データに基づき配合量が管理されており、天然添加物よりリスクが小さい傾向にあるといえるでしょう」(山﨑さん)
ただし、食物アレルギーがある人は卵や乳などの食品と同様に注意が必要とのこと。
「添加物は天然や化学に限らずアレルゲンとなり得ます。たとえば、着色料のコチニール色素という添加物をラベルで確認できた場合、アレルギーのある人は注意した方がよいでしょう」(山﨑さん)
心配な人は購入前にラベルを見て、どのような添加物が入っているか確認しよう。
■摂取量に気をつけた方がよい添加物はある?
添加物の詳しい使用基準を教えてもらった。
「化学添加物は、安全性試験で生体に影響の出ない量の100分の1未満の量しか食品への配合ができませんので、安心していただきたいです。天然添加物は、一般の食品成分と同様、同じ物ばかり食べ過ぎると健康を害する可能性があります。栄養バランスを考えて摂取量を調節してください」(山﨑さん)
清涼飲料水や菓子パン、カップ麺、加工品などに使われるリン酸塩について、“摂りすぎは健康によくない”という情報を目にすることもあるが……。
「食材の風味や食感、保存性を高める添加物のリン酸塩は、肉や野菜にも含まれる栄養素です。添加物からの摂取量は割合が低いので、通常の食事では耐容上限量である3000mg/日を超えることはありません」(山﨑さん)
山﨑さんのお話を聞き、安心した人は多いだろう。添加物は正しい情報に沿い適切な摂取量を守れば、健康を害することはないのだ。誤情報に惑わされず、加工食品も上手く取り入れながらバランスのよい食生活を心掛けたい。
●専門家プロフィール:山﨑 毅
NPO法人「食の安全と安心を科学する会」理事長。獣医学博士。「食の安全と安心の最適化」をミッションに、食のリスクコミュニケーションを推進。本当に回避すべき食のリスクについて誤認を防ぐため、不安を煽る疑義言説のファクトチェックも積極的に行う。YouTube「食品添加物のおはなし」(youtu.be/8RgK3la0Bx0?feature=shared)も好評。
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