春雨・くずきり 好調続き市場底上げ 内食、利便性、健康感が追い風に

ソース: 食品新聞 / 画像: 食品新聞 / 著者: 食品新聞

コープ西宮南のアレルギー対応食品売場

春雨・くずきり市場は、大幅増加した前年の勢いから鈍化したものの、一昨年比では当社推定で1割近く伸長している。内食の増加で保存がしやすく、簡単にかさ増しできる便利性の高さが再認識された。またコロナ禍の健康意識の高まりが後押しして、低カロリー食材として人気が再燃した。

マロニーの5~9月期は、主力商品「マロニーちゃん」など市販用マロニー製品が前年比105%になった。春夏期にも家庭で鍋を囲む機会が増え、量販店では春夏の定番に鍋つゆを残す店が増加。これに連動して、同社のマロニー製品が伸びた。太麺タイプ「お鍋にマロニーちゃん」は前年比118%、前々年比では130%と好調だった。「鍋つゆのPOSデータは前年、前々年度より伸長しており、消費者の生活スタイルの変化を感じる」(難波克章社長)。

鍋シーズンに突入する11月からは、テレビやネットで販促を強化して、この勢いに拍車をかける。

食品輸出 失敗の論理

国産春雨の三大メーカーの一つ、奈良県の森井食品は昨年上半期に市販向け国産春雨の需要が約3割伸び、生産体制をフル回転させて対応した。今年の3~9月はその反動により90%に減少したものの、依然高い水準を維持している。「春雨の利便性の高さに気づいて、これまで使っていなかった層が購入する傾向がみられる。市場全体が底上げされた印象がある」と森井啓修社長は話す。

関連商品も好調に動く。エースコックの「スープはるさめ」は、100kcal以下のヘルシーさが受け、健康意識の高い男女からの支持が厚い。そこにコロナ禍による、テレワークやオフィス内ランチの副食利用が重なり需要が急増。昨年末から一時期供給がひっ迫し一部商品に絞って対応した。発売20周年を迎えた今年も9月末までで前年を上回るペースで推移。11月から恒例の販促企画を投入し好調を継続したい考えだ。

春雨メーカーでは増産に対応するとともに、好機ととらえて消費定着と利用層拡大に力を入れる。